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糖尿病の食事療法
Dietary therapy
食事療法で血糖のコントロールを
糖尿病の合併症の発症を遅らせ、日常生活を健康に送るために、食事療法は大切な治療法です。
糖尿病の食事療法では、血糖のコントロールが基本になります。必要なエネルギー量と栄養素を過不足なくとり、過剰な摂取をさけることが大切です。
また、状態がよくなったからといって油断して暴飲暴食をしてしまうと、せっかくの治療がむだになります。
医師、栄養士と連携をとりながら、長期にわたる食事療法を工夫しながら続けていきましょう。
食事療法の基本
糖尿病は食事からとった栄養が変化したブドウ糖が血液中に多くなる病気です。
したがって、食事の量や栄養素の配分を調節することにより、血糖をコントロールすることができます。
また適切な食事は「インスリンの作用不足」を改善する効果が期待できます。
5つのポイントを守りながら規則正しく適量食べるようにしましょう。
Point
01
適切なエネルギー量
医師の指導によって、患者さんの年令、性別、身長、体重、日々の生活活動量などに基づいた1日の食事の量(エネルギ-量)が決められます。
1日にとるエネルギー量=理想体重×(25~30kcal)
※理想体重=身長(メートル)×身長(メートル)×22
糖尿病の患者さんは、1日の指示されたエネルギー量を守るために、ぜひカロリー計算をマスターしましょう。カロリー計算についてはこちらをご覧ください。
Point
02
バランスよく食べる
糖尿病の食事療法では、とくによい食品もありませんが、食べてはいけない食品もほとんどありません。毎日、いろいろな食品をとり混ぜて、それぞれ適正な量を食べることが大切です。
エネルギー量を減らすために、糖質を含む食品だけを減らすような献立はよくありません。エネルギー量が少なく、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な表6の食品を積極的に食べましょう。
Point
03
アルコール、甘いものは控えめに
糖分を多く含む甘いお菓子などは、血糖の上昇につながるので控えたほうがよいでしょう。甘いものやアルコールは中性脂肪を増やす直接の原因にもなります。また、食事が不規則になりやすいので気をつけましょう。
Point
04
食物繊維をとる
食物繊維はコレステロールを減らし、糖質の吸収を抑える効果があります。野菜、海草類、豆類、いも類、こんにゃくをメニューにとり入れて、積極的に食べるようにしましょう。
Point
05
1日3食きちんと食べる
同じエネルギー量の食事でも、1食だけに集中して食べると血糖の変動が大きくなります。3度の食事は均等を基本とし、規則正しく適量食べるようにしましょう。
糖尿病の食事療法におけるカロリーの計算方法
具体的なカロリー計算の方法については、医師や栄養士の説明をよく聞いてください。
糖尿病の食事療法では、80kcalを1単位として計算する食品交換表を活用したカロリー計算が用いられます。
1日の指示エネルギー量が1,600kcalならば、20単位ということです。また、エネルギー量だけでなく、どのような食品からどれだけのエネルギーを摂取するかというバランスも大切です。
糖尿病の食事療法では、必ず下記の表が使用されます。同じ表の食品は、同じ単位ずつ交換できますが、違う表の食品とは交換できないことから食品交換表と呼ばれてきました。 この食品交換表では、含まれている栄養素が似ている食品を一つのグループにまとめて、6つのグループに分けています。各自の食習慣や嗜好にも合わせて食品交換表を活用し、医師・栄養士と相談しながらバランスのよい食事を続けていきましょう。
糖尿病のカロリー計算でいう"表"とは、食品のグループのことです。
いわゆる6群表とも分類が違いますが、糖尿病の食事療法で長く用いられ、効果を出している分類法です。
6つの食品グループ
分 類
食 品
主に糖質を含む食品
表1
表2
●穀類
(ごはん、うどん、中華めん、もち、パン、そば、スパゲティ、コーンフレークなど)
●いも
(さつまいも、じゃがいも、やまいも、里いもなど)
●糖質の多い野菜と種実
(とうもろこし、かぼちゃ、れんこん、くり、ぎんなんなど)
●豆類
(大豆は除く。あずき、そら豆、グリーンピースなど)
●くだもの
(りんご、なし、洋なし、桃、ぶどう、バナナ、みかん、グレープフルーツ、いちご、柿、スイカ、メロン、びわ、パイナップル、パパイア、マンゴーなど)
主にたんぱく質を含む食品
表3
表4
●魚介類
(たい、たら、あじ、かつお、まぐろ、さけ、さんま、あさり、ほたて、はまぐり、イカ、たこ、えび、かに、うに、かまぼこ、はんぺんなど)
●肉類
(牛サーロイン、牛ヒレ、牛もも、牛ひき肉、豚ロース、豚ひき肉、鶏むね、鶏もも、鶏手羽、鶏ささみ、鶏ひき肉、ひつじ、あひる、鶏すなぎも、レバー、牛タン、ハム、ソーセージなど)
●卵
(鶏卵、うずら卵、卵とうふなど)
●チーズ
(プロセスチーズ、カマンベールチーズ、パルメザンチーズなど)
●大豆とその製品
(大豆、絹ごしとうふ、木綿とうふ、おから、生あげ、あぶらあげ、枝豆、納豆、きなこ、ゆば、豆乳など)
●牛乳・乳製品
(チーズは除く。牛乳、低脂肪牛乳、ヨーグルト、エバミルク、スキムミルクなど)
主に脂質を含む食品
表5
●油脂
(ドレッシング、マヨネーズ、植物油、マーガリン、バター、ラードなど)
●多脂性食品
(アボカド、ベーコン、豚ばら肉、サラミ、クリームチーズ、アンコウ肝、胡麻、アーモンド、ピスタチオ、ピーナッツ、ポテトチップスなど)
主にビタミン・ミネラルを含む食品
表6
●糖質の多くない野菜
(アスパラガス、小松菜、さやいんげん、トマト、にんじん、ピーマン、ブロッコリー、ほうれん草、かぶ、キャベツ、きゅうり、ごぼう、セロリ、大根、たけのこ、たまねぎ、なす、レタスなど)
●海草類
(昆布、のり、わかめ、いわのり、ところてん、ひじき、もずくなど)
●きのこ類
(しいたけ、えのきだけ、まいたけ、きくらげ、マッシュルーム、しめじなど)
●こんにゃく
(板こんにゃく、しらたきなど)
調味料
みそ、砂糖、みりん、トマトケチャップ、はちみつ、カレールーなど
カロリー計算をするための必要物品
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筆記用具
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ノート
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電卓
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台ばかり
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糖尿病治療のための食品交換表
カロリー計算の方法
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食べたい料理の材料をメモする。
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食品を交換表のグループに分ける。
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グループごとの1食の単位類が指示どおりになるよう単位を材料ごとに配分し、食べられる量を割り出す。
(単位配分×1単位重量=食べられる量) -
食品の重さを計る。
(慣れてくると、厳密に計量しなくても目分量で見当がつくようになるでしょう。)
食事療法を長続きさせるコツ
家族と同じ食事をとる
特別に難しく考えて、糖尿病食として別に調理していると長続きしなくなります。
量を制限すれば家族と同じ食事をとっても問題ありません。その場合、大皿からとり分けると分量がわかりにくくなるので、自分の指示単位に合わせて食べる分だけとり分けておきましょう。
また、小皿や小鉢を利用し皿数を多くして、食卓をにぎやかにするのもよいでしょう。
味は薄味に
味を濃くすると主食をたくさん食べてしまうので、薄味の食事に慣れましょう。材料の新鮮なものを利用することで旨味、香りなどをいかすようにするとよいでしょう。
低エネルギー食品で満腹感を
肥満を伴った糖尿病の食事では、空腹感との戦いはやむを得ません。きのこ類・コンニャク・海草などを上手に利用しましょう。また、よくかむと少ない量で満腹感が得られます。